羽田第一ターミナルの記憶と、変わらぬ味

羽田空港第1ターミナルは、私にとっていつ訪れてもどこか懐かしさを感じる場所です。もともとの羽田空港のターミナルであり、思い出が詰まっています。

生まれて初めて飛行機に乗ったのも、このターミナルでした。その時に搭乗したのが、あのパンアメリカン航空の001便です。

001便とは、当時「世界最高峰のフライト」とも言われたパンナムの世界一周便。自社の機材と乗務員で、東回りまたは西回りに世界を一周するという、まさに航空旅行の象徴のような存在でした。

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ー001便@香港ー

当時の私は大学生。「パンナムの世界一周フライトに乗る」という響きだけで胸が躍る、そんな時代でした。

もっとも、実際に乗ったのは

羽田 → 香港 → バンコク

までの区間でした。

今ではバンコクまで無給油で飛ぶのが当たり前ですが、当時は香港で給油をしていました。そんな時代の空の旅には、どこか大陸をつないでいくような実感があったものです。

そんな思い出のある第一ターミナルで、今回ふと夕食を取ろうと思いレストランを探してみました。しかし歩き回ってみると、昔あったような気軽な食堂はすっかり姿を消し、ターミナルの雰囲気も大きく変わっていました。

しばらく歩いた末に、懐かしい店名を見つけました。

彩凰です。

この店は昔からあった中華料理店ですが、入口の雰囲気はすっかり今風の高級中華料理店に変わっていました。

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少し驚きながら中に入り、メニューを眺めると、昔からある料理に加えて、以前は無かった小籠包なども並んでいます。

そこで懐かしさもあり、五目かた焼きそばと小籠包を注文しました。

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運ばれてきたかた焼きそばは、昔と変わらぬ味わい。香ばしく揚がった麺に、具だくさんの餡がかかり、記憶の中の味がそのまま蘇るようでした。

一方、小籠包は最近人気の鼎泰豊のようなスタイルで、これもなかなかの美味しさです。

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空港は時代とともに姿を変えていきます。しかし、その中で昔からの店が残り、同じ味を出してくれるのは何とも嬉しいものです。

思い出のターミナルで、変わらぬ味に出会えた夜でした。

USJという人工都市を出て思ったこと ―テーマパークという現代の都市―

二日間にわたって

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

で過ごし、パークのゲートを出たとき、ふと現実の街に戻ってきたような感覚がありました。

テーマパークの中は、非常によく設計された空間です。壮大なセットで作られた街並み、フレンドリーなスタッフ、緻密に計算された動線。そしてアトラクション、レストラン、ショップなどが一体となって、一つの世界を作り上げています。

一日歩いていると、そこが単なる遊園地というよりも、一つの人工都市のようにも感じられてきます。

その都市の中には、様々な仕組みがあります。

長い行列ができるアトラクション。

その横を通って進む

ユニバーサル・エクスプレス・パス

の優先レーン。

パークの中で食事をすれば、それなりの価格になりますが、外に出ればまた違った選択肢が現れます。

つまり、同じ場所の中に、いくつもの層が静かに存在しているのです。

もっとも、そんなことを考えながら歩いている人は、おそらく多くはないでしょう。園内の若い来園者たちは皆とても楽しそうで、純粋にこの空間を満喫しているように見えました。

それもまた、この場所の魅力なのでしょう。

思い返せば、私は30年ほど前、まだ中学生だった娘と二人でアメリカを旅行し、

ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート

を訪れたことがあります。

そのときは、ただ夢の国に来たという印象でした。しかし年月を経て、いろいろな国を見てきた今、テーマパークという空間を少し違う角度から眺めている自分に気づきます。

もちろん、これは単なる家族旅行です。家族は皆楽しんでいましたし、それで十分です。

ただ、旅というものは時々、思いもよらない連想を呼び起こします。今回のUSJ滞在でも、人工都市や文明のあり方について、ふと考える時間がありました。

テーマパークを出て、普段の街に戻ると、少し肩の力が抜けたような気がしました。

非日常の世界はやはり魅力的ですが、同時に、日常の街の雑多さにもどこか安心感があります。

今回のUSJの旅は、家族にとっては楽しい思い出であり、私にとっては少し考えさせられる小さな旅でもありました。

USJの外で見つけた、思わぬ美味しさ

一日中

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

で過ごし、パークを出て食事をしようと思った時のことです。

USJの入り口からおよそ100メートルほどのエリアは、まるで神社の参道のような雰囲気になっています。両側には土産物屋やレストランがぎっしりと並び、まさにパークの余韻をそのまま外に延ばしたような空間です。

並んでいる店を見てみると、

スシロー
モスバーガー
びっくりドンキー
大戸屋

など、馴染みのある店が並んでいます。

ところが驚いたことに、どの店も長い行列。場所によっては1時間待ちという状況です。

もちろん人気店ばかりなのですが、どれも普段から見慣れた店でもあります。せっかくなら、あまり並ばずに入れる店はないかと探してみることにしました。

そこで目に入ったのが

ハンバーグ2910

という店です。

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まず名前が面白い。いかにも関西らしいノリのネーミングです。店内に入ると、清潔で落ち着いた雰囲気でした。

メニューによると、この店のコンセプトは肉汁あふれるハンバーグを和風スタイルの土鍋ハンバーグとして提供するというものらしいのです。

正直なところ、「本当にそんなに肉汁が出るのだろうか」と半信半疑でした。

そして運ばれてきたハンバーグがこちら。

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ひと口食べてみると、思わず驚きました。

本当に肉汁たっぷりで美味しいのです。

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最初は少し疑っていたのですが、これはなかなかの出来栄えでした。ハンバーグの旨みがしっかりしていて、土鍋のスタイルもなかなか面白い。

しかも価格はUSJのパーク内と比べると、かなりリーズナブルです。

一日パークで遊んだあと、外で思わぬ美味しい食事に出会えたことで、お得感と満足感のある締めくくりになりました。

USJの行列とエクスプレスパス

―テーマパークのもう一つの仕組み―

今回訪れた

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

では、ほとんどのアトラクションで長い行列ができていました。

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人気のアトラクションになると、待ち時間は1時間、時には2時間近くになることも珍しくありません。園内を歩いていると、あちこちに整然とした列ができており、来園者の多くがその行列の中で順番を待っています。

日本人は並ぶことに慣れていると言われますが、確かにその通りで、長い列でも大きな混乱はありません。皆静かに順番を待っている様子は、ある意味で日本らしい光景とも言えるでしょう。

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しかし今回は、少し違った体験をしました。

私たちは

ユニバーサル・エクスプレス・パス

を利用していたのです。

このパスを持っていると、アトラクションの横にある専用レーンから入ることができます。一般の列とは別の入口があり、待ち時間も大幅に短くなります。

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実際に体験してみると、多くのアトラクションで待ち時間は10分から15分ほどでした。

同じアトラクションでありながら、一般の列では1時間以上待っている人もいます。その横を通って優先レーンへ進んでいくと、少し不思議な感覚になります。

同じパークの中にいながら、まるで二つの世界が存在しているようにも感じられました。

もちろんこれはテーマパークの運営としては合理的な仕組みです。時間をお金で買うという考え方は、航空機のビジネスクラスやホテルのクラブラウンジなどでも見られるものです。

ただ、長い列を横目に優先レーンを進んでいると、ふとこんなことも考えてしまいます。

このテーマパークという人工都市には、実はいくつかの階層が静かに存在しているのではないかと。

もっとも、これはあくまで大人の勝手な感想かもしれません。園内の多くの若い来園者たちは、そんなことを考えることもなく、純粋にこの空間を楽しんでいるように見えました。

そして実際のところ、家族旅行という観点から言えば、このパスはとても便利でした。

長い待ち時間を避けることができるため、一日の中で体験できるアトラクションの数も増えます。特に混雑する時期には、効率よくパークを楽しむための現実的な選択と言えるでしょう。

こうして一日パークを歩き回ってみると、

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

という場所は、単なる遊園地というよりも、一つのよく設計された都市のようにも感じられます。

そこには楽しさと同時に、非常によく考えられた仕組みが存在しているようでした。

USJでのランチ ― Park Side Grill

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

の中では、どこに行っても行列ができているのが当たり前です。アトラクションだけでなく、食事をするにも並ぶ覚悟が必要になります。

そんな中、園内を歩いていると、比較的空いているように見えるレストランがありました。もしかすると、価格設定が若い来園者には少し高めだからかもしれません。

その一つが

Park Side Grill

です。

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外から見ると、落ち着いた雰囲気のレストランで、園内の賑やかな空気とは少し違う大人の空間のように見えました。せっかくなので入ってみることにしました。

店内に入ると、内装はシックで落ち着いた雰囲気です。テーマパークの中とは思えないほど、ゆったりした空間でした。

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メニューを見ると、基本はコース料理で、6,000円と4,000円のコースが用意されています。日本円で見ると少し高く感じますが、ドルで考えると40ドル弱。海外から来た人にとっては、むしろ「思ったより安い」と感じる価格かもしれません。

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メニューを眺めながら店員の方に聞いてみると、単品のアラカルト注文も可能とのことでした。

午後もパーク内を歩き回ることを考えると、ランチで食べ過ぎてしまうのも少し困ります。そこで今回はアラカルトで注文することにしました。

5人で

ピザ2枚
スパゲッティ2皿
サラダ
ラムチョップ

スープ

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という組み合わせにしました。

実際に出てきた料理は、どれも思っていた以上に本格的で、味もなかなかのものです。テーマパークのレストランという先入観があったのですが、良い意味で裏切られました。

こうしてしっかり腹ごしらえを済ませ、再び午後のパークへと向かいました。USJで一日過ごすには、やはり体力も必要です。

少し落ち着いた空間でゆっくり食事ができたこともあり、午後のアトラクションに向けて、良い休憩時間になったランチでした。

USJの街を歩きながら、ふと思ったこと

―人工都市と西洋文明―

週末、家族で

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

を訪れた。

家族は皆とても楽しそうで、もちろん私自身も非日常の空間を満喫した。ただ園内を歩きながら、心のどこかで不思議な感覚を覚えていたのも事実である。

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壮大なセットで作られた街並み。

整然とした通り。

そして徹底してフレンドリーなスタッフ。

園内のすべてが一つの秩序の中で動いている。飲食の価格も、例えば水500mlが300円と、外の世界とは少し違う独立した経済圏を形作っている。

この街を歩きながら、ふと頭に浮かんだのは

ポルトガル

が世界各地に築いた

大航海時代

の植民都市の姿だった。

ヨーロッパ風の街並みが整備され、秩序が保たれ、訪れる者には洗練されたもてなしが用意される。しかしその都市の背後には、支配構造と統制が存在していた。

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もちろんテーマパークは人々を楽しませるための空間であり、そこに政治的な意味を読み込むのは少々穿ちすぎかもしれない。それでも、あまりにも完成度の高い人工都市の中を歩いていると、歴史のどこかで見た都市の姿を重ねてしまう。

園内には若い人たちが多く、皆心から楽しそうである。その姿は微笑ましい。しかし同時に、どこかで私は彼らがこの人工都市の魅力に完全に取り込まれているようにも見えた。少し極端な言い方をすれば、テーマパークジャンキーのような印象さえ抱いたのである。

もちろん誰も拘束されているわけではない。しかし、もしこの都市に住む人々がいたとしたらどうだろう。外へ出たくとも出られず、美しい街並みと秩序の中で暮らす。そんな想像が頭をよぎった。

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今回宿泊したのはパークに隣接する

ホテル京阪 ユニバーサル・タワー

である。

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30fのジュニアスイートに泊まったが、部屋は広く快適ではあるものの、海外のホテルで経験してきたスイートとは少し印象が違う。例えば私の好む

Westin Hotels & Resorts

などのホテルでは、スイートは客室というより小さなアパートメントのように設計されている。滞在そのものを楽しむ空間と言ってよい。

それと比べると、日本のホテルの「スイート」は、広めの客室という性格が強いのかもしれない。

朝食も印象に残った。プランには「プレミアムブレックファースト」とあったが、正直に言えば海外ホテルの朝食と比べるとやや物足りない。

例えば

Shangri-La Hotels and Resorts

Hilton Hotels & Resorts

などのホテルでは、朝食そのものが一つの文化になっている。

しかし今回の朝食ではエッグスタンドはオムレツのみで、フルーツスタンドも質素、パンやチーズの種類も限られていた。少々辛辣に言えば、プレミアムというよりプアーブレックファーストという印象であった。

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もっとも、こうしたことは家族には話していない。皆が純粋に楽しんでいる旅行の最中に、わざわざそんな感想を口にする必要もないと思ったからである。

ところで、テーマパークと言えば、私は約30年前、まだ中学生だった娘と二人でアメリカを個人旅行したことがある。その時訪れたのが

ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート

であった。

当時は今回のような違和感は特に覚えなかった。ただ漠然と、ここはWASP的な理想社会の模型なのだろうという感覚は持っていた。

滞在中、思いがけない出来事もあった。突然

The Walt Disney Company

の広報担当者に声をかけられ、日本から来た単独の個人旅行客は珍しいとのことで簡単なインタビューを受けたのである。そのお礼として豪華なミールクーポンをいただき、娘と二人で少し贅沢な食事を楽しんだ。今となっては懐かしい思い出である。

あの頃はテーマパークを純粋に「夢の国」として見ていた。しかし年月を重ね、歴史や文明について多少なりとも知るようになると、同じ場所でも違う景色が見えてくる。

今回のUSJの街を歩きながら、私は人間が作る「人工都市」というものについて、ふと考えていた。

旅というものは、時として思いもよらない連想を呼び起こす。今回の旅も、私にとってはそんな一つの経験だったように思う。

期待と少しの落胆――伊丹空港でのランチ

伊丹に昼頃到着し、さてランチはどこで取ろうかと空港内をキョロキョロしていると、「美々卯」の文字が視界に飛び込んできました。

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関西のグルメ事情にそれほど詳しくなくても、この店なら安心だろう――そんな気持ちで迷わず入店。というのも、本店は海外からの客をアテンドする際に何度も利用したことがありますし、新大阪駅の店舗でも、新幹線移動の際によく立ち寄り、蕎麦の美味しさに満足していた記憶があるからです。

ところが席についてメニューを見ると、思わぬ一文が目に入りました。

「1月より、うどんのみの提供となります」

あらら、今日は蕎麦の気分だったのに……と、少々残念な気持ちになります。

気を取り直してメニューを眺めていると、関東ではあまり見かけない「湯葉天丼」なる一品がありました。

湯葉といえば、いかにも体に良さそうで上品なイメージ。関東の人間にも受け入れられる味なのか、試してみようと思い注文してみることにしました。

しばらくして運ばれてきたのが、こちら。

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見た目は、ごく普通の天ぷらがご飯の上に載っている天丼です。天つゆは別容器で提供され、「こちらをかけてください」とのこと。

さっそく天つゆを回しかけて一口。

……正直なところ、天ぷらの汁かけご飯という印象でした。

丼もの特有の一体感のある味わいもあまり感じられず、期待していた湯葉の風味や個性も、ほとんど印象に残りません。

決してまずいわけではないのですが、

「これは美味しい」と唸るほどでもない。

これまでの美々卯の印象が良かっただけに、今回は少し肩透かしを食らったランチになりました。

もっとも、店の看板料理は本来うどんすき。

やはり、この店では王道を頼むのが正解なのかもしれません。

次に来る機会があれば、素直にうどんを注文してみようと思います。