私の地元では、毎年、町内会で夏祭りが開催されます。
この地に住んで、もう40年以上になります。
振り返ってみると、私が住み始めた頃と今とでは、町内会の雰囲気もずいぶん変わりました。
当時は、昔からこの地域に住んでいる地元の人が半分、そして私のように都心へ通勤するために新しく住み始めた人が半分くらい。
お互いにどことなく遠慮があり、町内会の中にも、少しぎこちない空気があったように思います。
ところが、40年以上も経つと、当然ながら住民も入れ替わります。
現在では、昔からの地元民は1割ほどで、残りの大部分は都心へ通勤する人たちになっています。
町そのものも、すっかり様変わりしました。
そんな中で、昔から続いているのが、この町会の夏祭りです。
プロの屋台がない、手作りの夏祭り
この夏祭りには、いわゆるプロの露店商、テキ屋さんは参加しません。
すべて町内会の手作りです。


屋台も「屋台もどき」といった感じで、町会の皆さんが準備します。
子供たちにとっては、それがまた楽しいのでしょう。
かき氷やわた飴など、夏祭りらしいものが並びます。
しかも、値段が今でも50円、100円程度。
最近ではなかなか見かけない価格です。
子供たちは小銭を握りしめて、好きなものを買って食べる。
親としても、町内会が主催しているイベントですから、いわば「公認の買い食い」。
安心して子供を遊ばせることができます。
豪華な設備も、本格的な屋台もありません。
でも、こういう素朴な夏祭りも悪くないものです。


むしろ、手作りだからこそ、地域のお祭りらしさが残っているように感じます。
あまりの暑さで、開催時期も変更
以前は、夏祭りといえば盆前に開催していました。
ところが、最近の夏は、とにかく暑い。
夕方になっても気温が下がらず、日が暮れても蒸し暑い。
そんなこともあって、数年前から開催時期を8月の最終週末に変更しました。
少しでも暑さが和らぐ時期に、ということなのでしょう。
それでも今年も、夕方5時になると祭りが始まります。
早い時間帯は、小さな子供たちが中心です。
かき氷を食べたり、わた飴を頬張ったりしながら、あちらこちらを走り回っています。
子供たちにとっては、夏休み最後の週末を楽しむイベントでもあります。
19時からは盆踊り
そして19時になると、盆踊りが始まります。
……とはいっても、実際に踊っているのは高齢者が中心です。


若者たちはというと、踊りの輪には入らず、少し離れたところから眺めているだけ。
これもまた、今の地域社会を象徴しているようで、ちょっと面白い光景です。
昔なら子供から大人まで、みんなが輪の中に入って踊っていたのかもしれません。
今では、盆踊りを楽しむ世代と、それを眺める世代が分かれているようです。
それでも、音楽が流れ、太鼓の音が響き、踊りの輪ができる。
そこに子供たちの声が加わる。
そんな光景を見ていると、「夏祭り」というものが単なる娯楽ではなく、地域の風景の一部なのだと感じます。
地域のコミュニケーションとして
都市部では、隣に誰が住んでいるのかもよく知らない、ということが珍しくありません。
特に、都心へ通勤する人が多い地域では、平日は朝早く家を出て、夜遅く帰宅する。
近所の人と顔を合わせる機会そのものが少なくなります。
だからこそ、このような地域のイベントには意味があるのだと思います。
普段なら挨拶程度で終わってしまう人とも、夏祭りでは少し話をする。
子供を通じて親同士が顔見知りになる。
祭りを運営する側になれば、世代の違う人たちとも一緒に作業をすることになります。
特別なことをしなくても、同じ場所で同じ時間を過ごす。
それだけで、人と人との距離は少し縮まるものです。
40年以上この町に住んできて、町内会の構成も、住んでいる人たちも大きく変わりました。
昔からの地元民が少なくなり、都心へ通勤する人たちが増えた今でも、こうした夏祭りが続いていることは、なかなか貴重なことなのではないでしょうか。
豪華な祭りでなくてもいい。
プロの屋台がなくてもいい。
50円、100円のかき氷やわた飴があって、子供たちが楽しみ、高齢者が盆踊りを踊り、その周りで若者たちが眺めている。
そんな何気ない夏の一日が、地域の人たちをつなぐ役割を果たしているのだと思います。
町の姿が変わっても、こうした「人が集まる場」は、これからも残っていてほしいものです。




































