最近、ちょっと不思議に感じたことがあります。
前シーズンの朝ドラで主演を務めた橋本環奈さん。放送が始まった当初は「おっ、華がある」「演技も堂々としてるな」と思って観ていたのですが、ある時からふと、彼女を観るのが少ししんどくなり、ついに観るのをやめてしまいました。
一方で、現在放送中の『あんぱん』。主演の今田美桜さんについては、最初の頃は特に強い印象があったわけでもないのに、回を重ねるごとに「この人、いいな」と思えるようになってきました。朝ドラがある生活が、ちょっと楽しみにさえなってきています。
この違いは、一体どこから来るのでしょう
キャラの「設計図」が左右する共感力
演じている役の性格──これは、かなり大きい要素だと感じます。
橋本環奈さんが演じた前作のヒロインは、強い自信と情熱で突き進むタイプ。ある種の“主人公力”ではあるのですが、視聴者としては「すごいね」と思いながらも、どこか感情の置き場が見つからないようなもどかしさがありました。
それに比べて、今田美桜さん演じるヒロインは、控えめながらも一生懸命。何かに向かって必死に手を伸ばすその姿に、こちらの気持ちも自然と重なっていきます。
「自分と似てる」とまではいかなくても、「応援したくなる」かどうか。
この感情は、キャラクターの“設計”次第でガラッと変わってしまうものなのかもしれません。
俳優本人の“にじみ出る空気感”
もちろん、役柄だけではなく、俳優本人の持つ空気感も大きいと思います。
橋本環奈さんは、その美貌と存在感がある意味で完成されすぎていて、「身近さ」よりも「見られる側の女優さん」という印象が勝ってしまうところがあるのかもしれません。
その点、今田美桜さんは、等身大の感情表現がうまく、どこか「近くにいそう」な雰囲気を持っているように感じます。素直な笑顔や、苦悩の表情ひとつにも、心が動かされるのです
朝ドラに求めるもの
朝ドラって、たった15分でも、毎日の生活のリズムに寄り添ってくれる“日課”のような存在ですよね。
だからこそ、「毎朝会いたい人」であるかどうかって、意外と大きな要素なのだと思います。派手さよりも、心がスッと入っていけるような安心感。もしかしたら、今田美桜さんは今、その“朝の顔”として、とても良いバランスで立っているのかもしれません。
最後に──感じ方の正解は人それぞれ
こうして書いてみると、橋本環奈さんも今田美桜さんも、それぞれに魅力があり、実力のある女優さんです。
だからこそ、どちらが良い悪いではなく、「自分がいま、どんな物語を求めているか」「どんな人物に寄り添いたいか」によって、感じ方はまったく変わってくるのだと思います。
日々変化する自分の気持ちに気づかせてくれる──それもまた、朝ドラの魅力のひとつかもしれません。