先日、読了した「ワシントンハイツの旋風」山田一力さんの語りが、あまりに巧みだったので彼の他の作品も読んでみる事にしました。Wikiでは“1977年に『蒼龍』で第77回オール読物新人賞を受賞してデビュー。2002年には『あかね空』で第126回直木賞を受賞”と書かれていました。先ず「蒼龍」を読みました。 時代劇短篇で町人ものが3篇と武家ものが2篇で、どれも巧みな筆致で武家社会の心意気、商人の気概を描き出し読みながら江戸の街が脳裏に浮かぶ傑作ばかりでした。タイトルの「蒼龍」は江戸を舞台にして自分自身を描いて居る様でした。ただ、どの作品も多彩な物語展開で沢山の登場人物が出て来るのですが、読み進める中で、やや話を追いにくくして居る様に感じました。そうは言っても、現在の門前仲町や東陽町あたりが舞台になって居る珠玉の短編集でした。次に読んだのが「あかね空」です。 これは、蒼龍から15年後の作品ですが、表現力や物語展開が明らかにスムーズに感じられました。物語は京から江戸に下った豆腐職人・永吉と妻おふみ、そして子供たち。親子二代の有為転変にかけがえのない家族の絆を描いた物ですが、心に染みる内容でした。僭越なコメントですが、15年でこれだけ上手くなるんだと驚いてしまいました。たぶん、彼の作品はどれを読んでも面白いと感じました。それは、彼が読者に対して気働きが出来る人だと思った次第です。そんな風に感じたので、もう1作読んでみました。2007年の作品です。 ガーン😨、これ面白くも何でも無く彼の思い出を街ごとに書いただけで売文目的しか感じられませんでした。調べて見ると彼は非常に多作なので、こんなのも出て来てしまうのかもしれません。さて、次は何を読もうかなぁ