義経じゃないほうの源平合戦

アマゾンのプライムリーディングに有ったので読んでみました。作者も不案内でどんなもんだろうと思いながら読み始めました。f:id:kaccinster:20240302085135j:image 結論から申し上げると面白かったです。話は頼朝、義経の間の異母兄弟の範頼の心のうちを語った小説でした。従来の歴史小説は勇猛果敢な戦闘や政治の駆け引きを描くものが多いのですが、この作品は淡々と範頼の思いのみを語っていくものでした。鎌倉時代は江戸時代と比べると圧倒的に資料が少ない中、著者は吾妻鏡から史実を参考として平家物語玉葉を補助として読み解き、ストーリーを組み立てて行った様です。本の帯に書かれた要約です。「鎌倉なんか、来るんじゃなかった。蒲御厨で静かに暮らしていた範頼は、命の危機を感じて頼朝のもとへ来るも、会って早々、兄の怒りに触れ言葉も出ない。ちくしょう、怖すぎるだろ、この兄さま。打倒平家に燃え勇猛果敢に切り込んでいく弟の義経を横目に、兄への報告を怠らず、兵糧を気にする自分の、なんと情けないことか。頼朝と義経、二人の天才に挟まれた平凡な男、源範頼の生きる道。」読み進めながら中間管理職のつらさや、今ひとつしっかり見えていなかった鎌倉幕府成り立ち前後の歴史の流れや雰囲気が、良く分かりました。