殉国

陸軍二等兵 比嘉真一を読みました。著者は吉村昭です。f:id:kaccinster:20240308212048j:image 話は沖縄戦の最後の最後の数ヶ月を描いた物です。15歳の比嘉真一少年が鉄血勤皇隊として徴兵された胸の内を事細かに綴った物です。吉村昭の作品は大好きでかなり読んで居ます。特徴は実に丹念な取材で集めた情報を元に物語を作り上げるスタイルです。この作品も那覇市内にアパートを借り長期滞在して取材して居ます。彼の作風は町屋に有る記念館を見学すると、良くわかります。f:id:kaccinster:20240308213303j:image 戦争が良い悪いという議論とは別に、生き残った少年、少女に取材をするとかなりの人から「初めて敵を見た時、口惜しくて。手榴弾でやっつけたかった」そんな言葉に衝撃を受けたと取材ノートに綴られて居たそうです。この物語の主人公と吉村昭は全くの同年代で自身の体験は「東京の戦争」に詳しく語られて居ますが、日暮里で育った彼が一時期川向こうの葛飾疎開して居た事が綴られ大変興味深く戦争中の中学生の生活の様々を読めます。