お茶の水 聖橋

この橋は、非常に思い出のある橋です。中高を過ごした茗荷谷から本を買いにお茶の水へ丸の内線で行くとき、必ず渡るのがこの橋でした。高校生の頃は友人と茗荷谷お茶の水間でお弁当を食べるなどという事をやったりしましが、今考えると何であんな事したのか忘却の彼方です。この橋も関東大震災の復興事業の一環でS02年(1923)竣工ですが、都内の河川にかかる多くの橋がこの事業で架橋されたことに驚きます。どの橋もデザイン的にも素敵です。2017年には土木学会推奨土木遺産にも指定されました。何で唐突にこの話題を書きだしたかというと友人からこの絵を見せられ、いろんなイメージが吹き出てきたからです。作者は小泉癸巳男(きしお)で木版「聖橋」です。f:id:kaccinster:20240529150630j:image S07(1932)年の作品ですが見ているだけどいろんなイメージがわいてきます。空が広いこととこの当時はまだ河川舟運が使われていて神田川にも船の往来が見て取れます。橋の名称は公募で95人の応募があり、深川区在住の男性が賞金50円で入選したとのことです。由来は北側に湯島聖堂、南側にニコライ堂と二つの聖堂を結ぶ橋から命名したそうです。橋は、船から見上げた時に最も美しく見えるようにデザインされています。現代でも、御茶ノ水駅のホームから似たような視点で見ることができます。f:id:kaccinster:20240529150738j:image  あと、この橋で思い出すのが獅子文六著の自由学校です。最初は小説で、それから映画、その後TVドラマにもなりましたがS26(1951)年の松竹版では佐田啓二の「とんでもはっぷん」や「ねえ、おばさま」、「ネバー、ネバー」などのセリフが大流行して、競作の大映版ともに大ヒットしたことから”ゴールデンウィーク”という言葉が生まれたそうです。もちろん和製英語です。話は聖橋の下の住人たちの生活や、神田の闇市の様子を描いた作品でYoutubeで大変楽しく鑑賞こんな由緒ある橋ですが、2016年から長寿命化工事を行い2017年には完了しているので今後ともこの景色を見ることが出来ます。