シンガポールで楽しんでいたのがヤクン・カヤトーストです。このお店も日本進出していて、私のオフィスの近くにも有ったのですがCovid19の期間に3店の内2店が撤退してしまい今は国際フォーラム店のみのようです。暑い日には無性に食べたくなります。 まず、カヤトーストですがシンガポールのソウルフードです。食パンの表面を、サクッとこんがり焼いたトーストにカヤジャムという砂糖、卵、ココナッツミルク、パンダンリーフ(ハーブ)から作られたジャムをたっぷりと塗り、薄くスライスされたバターを挟んだものです。半熟卵にトーストを絡ませながら食べるのがローカルの定番の食べ方です。 そして、欠かせないのがコーヒーや紅茶です。シンガポールはコーヒーの事を『コピ(Kopi)』と言います。シンガポールはじめ、東南アジアで飲まれる「コピ」は濃厚で非常に甘いのが特徴で、豆は主にロブスタ種で、砂糖、コーンスターチ、マーガリン(あるいはバター、かつてはラードも)などを加えて深くローストしてあります。入れる方法もドリップ式やエスプレッソ式とは異なり、湯にパウダーを加えて混ぜ数分置いた後にコットンのフィルタで漉すというスタイルです。 紅茶についても多様なスタイルがあり色々な組み合わせを楽しむ事ができます。 日本では経験出来ない料理ですが、成り立ちは移民が拵えた料理なんです。創業者のロイ・ア クンは、1926年、齢15才、木製のスーツケースを握りしめ、海南島からシンガポールに向かいます。シンガポールでは何の伝手もないので自然に地元の海南人コミュニティに引き寄せられ、コミュニティーの紹介で海南コーヒーストールでアシスタントとして働きました。(ストールとは小さな仕切りになった小部屋) そこからキャリアをスタートして、コーヒー、紅茶と炭焼きトーストを提供し続け独立創業に至ります。その後、ストールは単にヤ クンコーヒーストールと呼ばれました。「ヤ クン」という名前は「ア クン」に相当する中国発音です。現在は子供たちによって経営運営されていますが、シンガポールドリームを実現した一族の物語です。あ〜、シンガポールのファーイーストスクエアのお店で食べたいなぁ。