TDFが主目的でしたが、そのほかに興味が有ったのが公共交通,自転車交通の現状を見てみたいと思っていました。というのも、海外の都市、またアジアの各都市、韓国、台湾等は急速に自転車が移動手段として脚光を浴び始めています。そんな中、パリでは2007年7月自動車交通量緩和と大気汚染の軽減を目標に大規模サイクルシェアリングシステム、Velib'(ヴェリブ)を導入した話を聞いていたので、今を見てみたいと思っていました。コンセプトの中心は24時間365日のレンタサイクル、セルフレンタルステーションは300m毎に設置しているという事は出発前から知っていました。でも、共同自転車なんて本当に機能するんだろうか? その実態を見てやろうと思っていました。
あにはからんや、結構、便利に使っているし、自転車専用道路も部分部分ですが整備され始めていて、市民が積極的に使っているのに驚きました。
調べてみると,現在では設置箇所1450箇所で導入時の2倍、総台数は約2万台、どのステーションで借りても良く、それをどこに返してもよい、しかも登録さえすれば30分以内なら無料、1日券で5ユーロ(700円)、う〜ん、素晴らしい! でも私はいくつかの疑問を持っていました。一つは、自転車を共有とした場合、人は自転車を大事にするだろうか? 二つ目は行政が関与する事で非効率な運営、役所仕事が重なり、やがて衰退するのでは? この2点を訪仏前から疑問に思っていました。日本で過去に規模は違いますが実験的に同種のもをやって失敗したのも、このニつが大きな障壁だったと記憶しています。
まず、一つ目の疑問ですが、現物見て、’う〜ん、これ結構いいなぁ'大事にしたくなる何かを感じました。落ち着いた色調と洗練されたデザイン、さすが、そんな感じです。機能的にも(観察した範囲で)、内装3段変速、ハブ発電のライト、洒落た前籠、頑丈だけどデザインの良い鍵、これならスーツ、タイに身をかためたビジネスマンが乗っても絵になりますし、実際にエグゼクティブが背筋ビシッと伸ばして乗っている姿や、素敵なマダム、マドマーゼルが乗っているのを沢山見かけました。それでも、公徳心の無い人も居るようで、ポスターで「ヴぇリブを守って!」そんなのも見かけましたので、100%問題無しとは云えないようです。二つ目の点ですが、しっかり調べる時間がなかったのですが、どうも税金は全く使われないで、民間運営会社が市内の広告塔の優先使用権を市から貰い、そこからあがる広告収入でヴェリブを運営しているようでした、こりゃ、勉強する必要アリと痛感しつつタイムアップでした。
次の公共交通、フランスの新幹線TGV(テジェヴェ(仏)、英語ではティー・ジー・ヴイと発音)について書いて見たいと思います。TGVはフランス国鉄 (SNCF) が運行する高速鉄道の車両で、「高速列車」を意味する 《Train a Grande Vitesse》の略(trainは列車、grandeは大きい、vitesseは速度)、日本の新幹線の営業速度を初めて塗り替えたことで世界の注目を集めました。海外の新幹線建設では必ずJRの新幹線の対抗馬として出てくるのがTGVで、実際JRは、韓国では負け、台湾で逆転勝利していて、これからも凌ぎを削るライバルなので、是非見てみたい、乗って見たいと思っていました。TGVの歴史もJRを追随していて、日本が新幹線建設を開始した1959年の直後に研究が始り、JRの新幹線開業を追いかけ1976年にはフランス政府のTGVプロジェクトによって最初のTGV路線であるパリ - リヨン間(パリ南東線(TGV Paris Sud-Est, TGV-PSE))の建設が始まりました。
今回TDFのゴール26日の3日前にTDFがイタリア・スイス国境に近いアネシーと言う街のアネシー湖という湖を周回TTやるとの事でしたので、現地で情報がうまく捕まえられれば、行ってみようと思っていましたが、ココに行くのには、まさにTGV発祥のパリーリヨン間を必ず通るという事がわかり、興味が大きく膨らみました。幸い、難しいだろうなぁと思っていたチケットが日曜日の日に予約出来、アネシーの宿もTDFがあるせいか、ネットどこを見ても空室無しでしたが、ラッキーな事にアメリカのサイトから部屋を一つ同じく到着日に押さえる事が出来ました。
そしてTGVですがパリの出発はリヨン駅からでした。欧州の典型的な駅の作りで低いプラットホームからの乗り降り、各国、各方面に向かう列車のフォームが並びます。駅について、いきなり吃驚したのは私が乗る車両に自転車の絵が書いてあることでした。よく見るとこのマークは、どうも自転車をココに積んでも良いの印のようです。指定席に荷物を置いた後。改めて見に行って見ると、やっぱり自転車置き場でした。こんなところに自転車積んで旅行できたら、最高、そんな感じでした。
アネシーまで約3時間強ですが、途中でローディが自転車を、ひょいと片手にサイクリングジャージ、レーパン姿で男性が乗り込んで来ましたが、全くの自然な様子で自転車を車内に運び込み、自転車置き場ではなく、人の通らなそうな通路に自転車を立掛け、倒れないようにフレームと手すりにひもでくくりつけ、悠々と着席しました。日本の新幹線に折り畳まないで、自転車持ち込めたら、どんなに便利でしょう、フランスでは、自転車持ち込むこと、当たり前の様でした。
そして、乗り心地ですが、日本の新幹線と比べるとスピード感がありません、これはTGVの技術で作られた韓国のソウループサンの新幹線に乗った時と、全く同じ印象です。ひとつ良いのは、車内販売が全くなく静かな車内が気持ちよかったです。といっても、簡単な食堂車兼スナックコーナーがついた車両があり、ここで軽食を購入したり飲食したり出来るので不便はありませんでした。それと、必要最低限の車内アナウンス、これも好感が持てました。もっとも、日本の公共交通での車内放送過多は常々、常軌を逸していると思っているので、反動で好印象を持ったのかもしれません。でも、どちらが良いかと軍配を上げるのなら日本の新幹線技術に上げたいと思いました。 あと、運賃ですが日本の新幹線とどっこいどっこいでした。というのも、このTGVは大陸間移動で開業時から飛行機と競り合っているので航空券よりちょっと安く、早いの価格帯を狙っているので、全線、日本で言えば羽田ー伊丹のような料金設定になっているのだろうと思いました。後ほど、物価について紹介できればしたいと思いますが、総合的に考えてフランスは日本より物価高いと感じました。