同じ著者の戦前史が非常に面白くて、戦後史も期待して読みましたが、とても良かったです。
敗戦から十年間の歩みを分析し、それが戦中との断絶ではなく、戦前戦中の歩みが、戦後の日本にいかに引き継がれ、模索されていくかを描いて居ます。随所に文学作品から引用して語られるのですが、偶然ですが、どれも良く読んで居る作家なので理解し易かったです。主に3人で、山田風太郎、吉村昭、高見順です。大衆社会状況や日米安保体制など、つまり、戦後日本のアメリカ化が主に語られて居ました。冒頭の作者の文章を一部要約引用します:
本書はつぎの3つの分析の枠組みから敗戦後10年間の戦後日本の全体像に接近を試みる。
第一は政治・外交・経済・社会・文化の5つの多角的な視点である
第二は〈戦前/戦後〉の〈 連続/断絶〉の両面を可能なかぎり継続的に追跡する。
第三はもうひとつの可能性としての戦後日本である。 戦後日本の背景にあったのは、大量生産・大量消費社会の生活様式と新しい大衆文化だった。
:引用終わり
いっきに読み終わりましたが、誰もが日米開戦を回避しようとする中、戦争の疲弊による日米の弱体化を狙い、その後の共産主義国家を夢見た2人、日本は近衛文麿、米はフランクリン・デラノ・ルーズベルトが戦争を始めたと理解しました。