先月の東洋文庫の展示の中でケースの中に陳舜臣アヘン戦争が展示されて居ましたが、この本を読んで無いのでさっそく図書館を検索しましたが、有ったのは同じ作者の「実録アヘン戦争」でした。 さっそく読んでみました。薄い本でしたがアヘン戦争の時代背景・発端から結末まで、非常に分かりやすく解説されていました。冒頭、阿片戦争を東洋と西洋との遭遇と捉える所から始まります。内容は、清国の腐敗とイギリス帝国主義の残忍さについて詳しく書かれて居ました。
清国は満州族による征服王朝で皇帝の絶対的権力と官吏は科挙〜作文能力による人材登用で支配し国としては自給自足経済・安定指向を目指し、現代にも繋がる華夷思想で西欧を見下して居ました。 日本の幕末は良くも悪くも単一民族である事から尊王に固まったのと違う多民族国家で有る清国の無常を感じました。 一方の大英帝国で出世の途はなにより植民地経営で成功してブルジョワの次男以下に就職先を増やす国家資本主義をまっしぐらに進んだ結果がアヘン戦争でした。 林則徐についてかなりのページが割かれて居ますが、腐敗した国家に中で職務に励む悲哀を感じました。そんな彼ですが英国側からも一目置かれて居たとの記述にホッとさせられました。今度は小説の方を探して読んでみたいと思います。